ストレス状態が自覚できない
過度に協調的な人は要注意
他人のペースに自分に合わせて過度に協調的な人は、我慢強く、仕事もよくできるようです。また責任感も強いので、自分がストレス状態にあるにもかかわらず、気づかないまま頑張りすぎてしまいます。そのためギリギリまでいろいろな症状の発症を察知できなかったり、たとえ気がついていても無視して過剰に努力をしています。
会社や人間関係の中で仕事や対人関係に過剰適応するあまり、自分の喜怒哀楽の感情やちょっとした体の症状(肩こり、全身倦怠感、胃痛など)もたいしたことはないと抑えつけているうちに、自分でも、自分自身の感情や症状を自覚できない状態に陥る場合があります。そのため、回復に長期間を要するうつ状態や、心臓疾患、脳血管障害といった致死的な病気が突然発症することも少なくありません。一生懸命働くビジネスマンや家族の介護をしている方の中にはこのようなケースが多く含まれていると考えられます。
自覚することが治療の第一歩
自覚し対処することが大切
ストレス状態が続いていると、自律神経系や内分泌系に変調が起こり、体にもいろいろな影響がでてきます。そして、結果的に様々な症状や病気が引き起こされることになります。そうならないためには、適宜、ストレスをこうむらないように工夫しておくことが必要です。残念ながらストレスに伴う症状が出現した場合には、いち早く何がストレスかを自覚し、心身をリラックスさせることが大切です。心のささやきが叫び、悲鳴と変わらないうちにです。もちろんそれぞれ個人差があるので症状は各人各様です。ここで重要なことは、自分にとってストレス状態が最初にどんな症状となって現れるかを日常から注意し観察しておくことです。つまり心のささやきに注意をすることです。ある人は、まず先に胃の具合が悪くなるかもしれません。また別の人は、肩こりや頭痛がきまって出ることもあるでしょう。このようにそれぞれ自分の最も弱い部分が何であるかを確認しておくとストレスが蓄積してきたことを体の症状で自覚することができ、対処が容易になります。
病院をはしごするドクターショッピング
初期症状はささいな症状が多い
初期症状はささいな症状で、体のいろいろな場所に出て、その現れ方も多種多様です。例えば、のどに何かひっかかっている感じが続いているとしましょう。最初は風邪でも引いて痰がからんでいるのだろうと思いますが、長く続くとガンであったらどうしようと不安にかられます。そこで思い切って病院を訪れることにしますが、病院では一般の内科を受診し、医師に「のどに痰のようなものがひっかかっている気がするので調べてくれ」と訴えます。医師はその訴えに従って検査を行います。そして、異常がないので「風邪でも引いたのでしょう痰をとるお薬を出しておきますから飲んで下さい」と・・・。その場は一応安心して帰りますが、現実にはまだ症状があるので、解決していません。医師から心配ないと言われたこともあり、数日あるいは数週間様子を見ますが、症状はさっぱりとれません。風邪ならもう治ったはずなのに、あの医者は心配ないと言ったけど、たいした検査もしないし、本当はどこかに問題が隠れていてそれを見逃したのではないかという不安に徐々にかられていきます。今度はもっと大きな病院でさらに詳しい検査を受けてみようかと考えます。そして意を決して大きな病院に受診しますが、そこでも内科の医師は、疲労がたまった結果だと思うので休養と栄養の補給を十分にというアドバイスをしてくれる医師もいるかもしれません。
このような医師はまだましな方で、なかには、気管支拡張剤、去痰剤、ステロイドなどを使いたいために病名をつけてしまって、りっぱな病名をつけてもらって通っている方もいるようです。なかなか本人には納得いかないのが本音のところです。
なかには、何か所もの病院をまわり、血液検査をはじめとして、CTやつらい検査を受けたり、経済的な負担も含めて大変な時間と労力をむだにされた人もいます。
このような症状は、不安で起こることなので、不安になればなるほど、治りません。ドクターショッピングをくりかえしていては、不安をもらってくるだけなのです。
ストレスにさらされてきた人が一段落ついてきたころに、困った症状が現れる
自分を押し殺す過剰適応タイプ
どのような人が自律神経系、内分泌系に影響しやすいのでしょうか。一言でいえば神経質な性格の人です。几帳面、まじめ、頑張りや、完全主義、わりと頑固、神経が細やかで周囲のことに気を配りすぎる、いい加減なことが許せない、「こうあるべきだ」と枠を守るタイプの人です。
このような性格の人が、ストレスにさらされた場合、ストレスを感じてないかのように何でも無難こなしていきます。だからあれも、これもとやらなければならないことを、大変だけど、こなしてゆくことができます。つまり、変化する環境に自分を合わせていきます。(これを適応と言います)しかし、感情は常に知性により抑えつけられています。神経伝達物質、ホルモンなどは、環境の変化に適応しようと普段よりたくさん分泌されています。そして、そのストレス状況に少しずつ慣れてきたか、あるいは見通しがついた、一段落ついた、などと緊張がほぐれてきたころに(ホッとしたとき)身体の症状として現れます。
ストレス状態の真っ最中の時は体に症状として、出ていません。体は一生懸命環境と適応しようとしてるため頑張っているのです。
自律神経の症状だらけの人にその症状はストレスから来ています。と言うと、「私は今、ストレスが全然ないの」とおっしゃる方がいます。「それでは、ウキウキ、ワクワクすることがありますか」と聞くとそれもないと言います。
「実はそれは今のストレスではなく、その症状が最初に自覚した時よりさらに、さかのぼって半年位前のストレスに原因があります」と言うと、「ああ、ありました。」「やっぱり。あの時は大変だったのよ。」などと言う方が多くいます。
重要なことはストレスを認識し、その症状はストレスによって、身体に現れていることを知ることです。